今回は「ペットの相続税評価」についてをお伝えします。相続時において、相続財産としてのペットをどう扱って、どう評価するか、という問題です。
相続後のペットのお世話をしてもらうか相続の準備(ペットへの相続の準備)の第二弾です。
私の実家には、来年17歳になる柴犬と元野良の黒猫(推定9歳)が住んでいます。近所から迎えた柴犬も元野良も大変魅力的で素晴らしい家族の一員です。
先日世界の猫特集をしていたのですが、とても高価に取引される猫もいるようです。例えばベンガル猫→250万・サバンナ→500万・アシェラ1,500万など・・・ということは、財産になるのでは???というような疑問が浮かびます。ちなみにアシェラは日本では飼えませんし、サバンナはその等級によって届出の提出など色々と手続きが必要です。
遺産分割協議でペットはどう扱われるか?
まず、民法では、ペットは「物」として取り扱われています。「物」と言われると、大事な家族の一員なのにな・・・なんて思いますが、民法上での取り扱いは「物」となるので、例えば猫は、法律的には「物」であり厳密に言えば分割協議の対象です。ただ、よほどのことがない限りは、分割協議の対象になることもないとは思いますが。
ペットの相続税評価 どう計算するのか?
その上で、ペットの相続税評価については、ペットを含めた動物全般の「牛馬等の評価」ということで税法上は定められています。ここでは牛・馬に加えて犬・猫・鳥・魚などの動物たちが評価の対象となります。その中で、その動物たちが販売目的か販売目的以外で飼っているか?によって評価方法が変わります。
1.販売目的の動物
例えば、ペットショップやブリーダー・畜産業者・海産物を販売する鮮魚店等の場合です。
この場合は、牛馬等の評価ではなく、「棚卸商品等の評価」が適用されます。
評価額=販売価格-(利益+経費+消費税)
2.販売目的以外の動物
ペットや馬車や荷物を引かせる労働目的などの動物の場合です。ペットはこちらに含まれます。
評価額=牛馬などが市場で取引される実際の金額(売買実例価格)やそれぞれの専門家の意見である(精通者意見価格)を参考にして評価
以前は、さらに目的別(ペット・種付け用・労働目的など)や種類・年齢に応じて国税庁が定めた標準価格により評価していました。しかし平成20年の法改正により個別性を反映させるために標準価格の使用をやめて、その対象を個々に評価することとなりました。
参考)国税庁HP 牛馬等の評価
ペットの相続税評価 のまとめ
以上のように、ペットを含んで動物は物として遺産分割の対象となり、ペットの相続税評価は、販売目的かそれ以外か?で評価方法が変わますが、通常のご家庭の ペットの相続税評価 については売買実例価格や精通者意見価格となります。
よほど希少で資産価値があり第三者間で売買される対象となっているようなケースは個別対応となりますが、現状おうちで一緒に過ごしているペットについては、ゼロで評価となるケースがほとんどではないかと考えます。実際、相続財産として申告計上するケースは私はまだみたことがありません。
そのような値段の大小に関らずペットは、売買価値以上の癒しを運んでくれる大切な家族の一員。最期まで大切にしていきたいですね。
執筆:遠山真由美(大阪市北区南森町)
(制度は投稿時点のものになりますので、ご注意ください)
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