贈与税の改正 が論点になっていたと思ったんですが、今年の税制改正はどうなったんでしょうか。令和4年税制改正大綱での贈与税の改正論点を確認してみます。
贈与税の改正 のウワサ
昨年の税制改正大綱(抜粋)では
相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度の在り方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
自民党税制改正大綱(令和3年度)
というように記述され、7月以降に「贈与税が廃止される」かも!という報道や憶測がながれていました。
「生前贈与」が使えない!これが相続の新常識(東洋経済2021/07/26)
相続税と贈与税一体化の方針で「相続税対策の生前贈与」は通用しなくなる(Yaohooニュース20219/25)
贈与税の改正:税制改正大綱(令和4年)の論点
2021年12月10日に与党から税制改正大綱が発表されました。
今後、諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度の在り方を見直すなど、格差の固定化の防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
自民党税制改正大綱(令和4年)
あれれ。基本的に前年を踏襲しているだけで、特段の改正項目はでてきていません。
しかしながら、
経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、その在り方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。
自民党税制改正大綱(令和4年)
という記述が追加されています。ここで意識されているのは、令和3年改正で延長された教育資金贈与、教育・子育て資金贈与の非課税の見直しを指していることは明らかです。
このように税制改正大綱からは「格差の固定化」という観点を意識して、暦年贈与についても改正に含めていくという強い意志を感じることができます。
贈与税の改正 のゆくえ
令和4年の税制改正大綱においては、贈与税に関する部分では「住宅取得資金の贈与」が延長されたのみです。
今回の税制改正大綱をふまえ贈与税に関する論点をまとめると以下の通りです。
これをみると2023年内に延長の議論が必要な規定ばかりです。
ということは、2022年12月の税制改正において上記特例の延長(廃止など含む)をからめて、暦年贈与の在り方についてを議論することになるのは間違いないと思います。
まとめ
上記の通り、令和4年の税制改正では贈与税の大幅な改正は盛り込まれませんでしたが、来年への改正の布石であることは間違いありません。
長期間の贈与は時間がある方にとっては、外せない相続対策でした。
しかし、「格差の固定化防止」という強いメッセージが税制改正大綱で打ち出されており、大幅な税制改正が控えていると言えます。そのため、2022年は必要な贈与を行う最後の一年になりえるのではないかと思っています。
市川税理士事務所でも、年末にかけて、今年の贈与税の暦年贈与枠を使った贈与税対策のお話がふえてきます。効果的な 相続の準備 にもなりますので、改正情報を含めて相続に強い税理士の相続の準備ノウハウを是非活用してください。
執筆:税理士 市川欽一(大阪市北区南森町)
(制度は投稿時点のものになりますので、ご注意ください)
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