相続税の基礎控除の変遷

相続ブログ

相続税には基礎控除という非課税枠があります。
相続税の基礎控除は、バブル期の地価の高騰・急落と共に変遷してきました。
今回は相続税の基礎控除の変遷をまとめていきます。

相続税の基礎控除とは?

相続税の基礎控除は、相続税がかかるかかからないかのボーダーラインとなる制度です。
亡くなった人の総財産から債務などを差し引いた金額が基礎控除を超えなければ、相続税の申告は不要です。
現行の相続税の基礎控除は以下の通りとなります。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数

例えば、法定相続人が2人であれば3,000万円+600万円×2=4,200万円です。
法定相続人が増えると基礎控除も増えていきます。

相続税の歴史的背景と基礎控除の推移

歴史をみてみると、相続税は日露戦争の戦費調達のために創設されたものです。
その時の基礎控除は2,000万円+400万円×法定相続人でした。

その後、昭和63年に行われた改正で大幅に基礎控除が増額となります。
これは、バブル経済で高騰した不動産によって増えた税の負担を減らすためです。

平成4年度・平成6年度には、不動産にかかる相続税の負担が重すぎて、相続人の住まいを売らないといけなかったり、事業自体を継続することが出来ないという指摘により基礎控除が上がっていきます。

その後、平成25年度にはバブル崩壊後の不動産価格の下落にも関わらず高いままであった基礎控除の金額を引き下げました。
それまでの基礎控除を4割も圧縮されています。
(基礎控除5,000万円から3,000万円へ・法定相続人一人当たり1,000万円から600万円へ改正)

平成25年度改正から相続税の件数は2倍に!!!

平成25年度の改正により基礎控除が大幅に引き下げられた結果、今までであれば申告不要だった方、相続税とは無縁であった方も相続税が課税されています。
そのため亡くなった方のうち、課税された人の割合が4.4%から改正後には8%となっており約2倍まで増加しています。
(参照 財務省ホームページ:地価公示価格指数の推移と相続税の改正)

更に地価が高い東京国税局の管轄になると、7%から13%を超えるようになり、更に東京都に限ると亡くなった6人に1人の割合で相続税の申告書を提出していることになります。

まとめ

相続税の基礎控除は、時代の変化と共に改正されてきました。直近の改正により大幅に基礎控除の引き下げとなりました。
そのため、サラリーマン家庭であったとしても相続税の申告を必要とする方が増えています。
相続の準備の際に、財産の価格が基礎控除を超えるのではないか?という可能性があるならば一度専門家に相談することをおすすめします。

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執筆:遠山真由美(大阪市北区)
(税制は投稿時点のものになりますので、ご注意ください)

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