相続税の申告期限までに遺産分割協議が決まらない場合はどうなるのか、についてのまとめです。
相続税の申告期限は?
相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日(通常は亡くなった日)から10ヶ月以内に行うこととなっています。
例えば、1月6日に亡くなった場合はその年の11月6日が相続税の申告・納付の期限となります。
なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。
どのような場合に相続税の申告が必要か?
相続税の計算では、相続などにより取得した財産から(一定の生前贈与財産を含む)、被相続人の
債務や葬儀費用を差し引きます。その額が相続税の基礎控除を超える場合は申告が必要です。
●例えば
相続人の人数:3人(妻・子2人)
不動産や現金・預金等の総額 8,000万円
被相続人の債務500万円 葬儀費用200万円
8,000万-(500万+200万)=7,300万
7,300万-4,800万(基礎控除)=2,500万
この場合は、相続税の申告が必要となります。
※基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の人数
申告期限までに遺産分割がまとまらない場合は?
相続税の申告期限までに遺産分割協議ができなかったとしても一旦、相続税の申告をする必要があります。
その場合には、各相続人が民法に規定する法定相続分で財産を相続したものとして相続税を計算し、申告と納税を行います。→未分割申告
この場合、申告期限に遺産を全く相続していなくても法定相続分に相当する相続税を納める必要があります。
相続税の特例は、未分割申告でも受けることができますか?
相続税では、配偶者の税額軽減が受けられる特例や、亡くなった方の住まいや事業されていた土地の評価を最大80%減額する特例など、いくつか設けられています。
しかし、いずれの特例も遺産分割協議においてその取得者が決まっていない場合には適用を受けることができません。
なお、税額軽減などの特例を受けたい場合は、未分割申告を提出する際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出しておく必要があります。
未分割後、遺産分割協議がまとまった場合は?
相続税の未分割申告及び納付後、遺産分割協議がまとまり、実際に相続した財産が法定相続分よりも少なくなった場合、納付すべき相続税の金額も少なくなるのが一般的です。
その場合は、「更正の請求」という手続きをとり、最初の申告で多く払い過ぎている相続税の還付を受けます。
更正の請求の期限は、遺産分割協議が成立した日の翌日から4ヶ月以内となっています。
取得する財産が法定相続分よりも少ない人がいるということは逆に多く取得する方もいるので、納付するべき相続税が不足しているということになります。
その場合、修正申告を提出し不足分の相続税を納付します。
まとめ
亡くなってから相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合、納税資金の準備を困難にするだけでなく、税額の軽減特例が受けることができないため納付する相続税額が多額になります。
相続税が課税される可能性のある方は、まず亡くなってから10ヶ月以内という期限を意識して手続きを進めましょう。
また、そもそもこのような事態を避けるために、将来自分自身の相続で遺産分割協議がまとまらないと予想される場合には遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか?
残される家族にとって生前からできる対策を講じることも大切だと思います。
執筆:遠山 真由美(大阪市北区南森町)
Webで無料相談・カンタン見積り依頼
市川欽一税理士事務所では「相続の準備」「相続申告」を支援しています。
事業承継についてもご相談承りますので、お気軽にご連絡ください。