家族が亡くなると、その相続人がやるべきことに「遺品整理」があります。今回は遺品整理をするにあたり気を付けることをまとめました。
「終活」における遺品整理
家族が亡くなった時に、直面するのが「遺品整理」です。
最近では「終活」などの言葉が定着し、遺される家族に迷惑をかけないようにと、生前に身の回りのことを整理する方も増えてきました。
しかし、いくら生前に準備していても、遺品を整理することは避けて通れないものです。
遺品整理は誰が行うべきだろか?まず行うことは?
家族が亡くなった場合、まず遺言書の有無を確認しましょう。
何故か?というと、法律的には相続が開始した時点(亡くなった時点)で相続人に遺品の所有権が移っており遺品の所有者である相続人に対し、遺品整理の義務が発生するためです。
遺言書がある場合とない場合
遺言書がない場合は、法定相続人(配偶者や子ども等)が遺産を引き継ぐことになりますが、遺産分割協議により、どの財産を誰が引き継ぐか?を決めることができます。
故人が遺言書により、相続人を指定している場合は、その人が相続人になります。
そのため、「誰が遺品整理の義務があるのか?」を把握するためにも遺言書の有無を確認しましょう。
遺品整理をするべき人が決まった場合
遺品整理を行うべき相続人が確認できた後は、実際に遺品整理に取り掛かります。
この際、いきなり遺品を処分(売却)するのではなく、まずは故人様の財産の把握から始めましょう。
「相続財産」には不動産や現金・預金などのプラスの財産と、借金のようなマイナスの財産の全てが含まれます。
プラスの財産がマイナスの財産よりも多い場合は問題ないのですが、稀にマイナスの財産(借金)のほうが多い場合もあります。この場合どうやって借金を支払うか?についても考える必要があります。
マイナスの財産が多い場合
故人様の総財産を確認し、プラスの財産よりマイナスの財産(借金)が多い場合、相続人の選択肢の一つとして「相続放棄」があります。
相続放棄とはプラスもマイナスの財産も一切受け取らないということです。
しかし民法では「相続放棄」と同じく「単純承認」という制度があります。
単純承認とは、故人様のプラスの財産もマイナスの財産も全て相続することです。
もし、相続人が先に遺品整理を行い処分していく中で、故人に大きな借金があると発覚した場合
どうなるのしょうか?
まず民法を確認しましょう。
●民法第921条
次に掲げる場合には、相続人は単純承認をしたものとみなす。
①相続人が相続財産の一部又は全部を処分したとき。
つまり、遺品を一部でも処分した後に、故人様に大きな借金があることが発覚した場合
相続放棄ができず、相続人は故人の借金を支払う義務を負う可能性があるのです。
まとめ
遺品整理は、相続財産を把握するといった観点からも大変重要なことです。
ご家族が亡くなった場合、気持ちの整理も大変で遺品整理が後回しになってしまうこともあるでしょう。
しかしそうした事情で放置した場合は様々な問題が発生する可能性があります。
当事務所では、信頼できる専門家とも提携していますので、生前整理・遺品整理についての手続きに
不安がある場合は、お気軽にご連絡ください。
執筆:遠山 真由美(大阪市北区南森町)
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