タワマン節税にメス!(令和6年1月相続から)

相続ブログ

タワマンの相続税評価が令和6年1月分から大きく変わります。

「タワマン節税」封じ

国税庁の有識者会議で、今年6月30日にマンションの相続税評価の見直し案が公表されました。
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf
簡単にまとめると「マンションの評価を市場価格の6割の水準にまで上げる」というものです。

「タワマン」節税とは?相続時のタワーマンションの相続税評価と関係する!!

タワーマンションの節税とは、購入時の価格(時価)と相続税評価額の開きが大きく、この差額を利用した節税対策です。

相続税が発生する場合、亡くなった方の財産の価格は国税庁が定めている財産評価基本通達により決められます。
これを相続税評価額と呼びます。この評価額が高い程、相続税が高くなります。
相続税を低くしたいなら、自分が持っている財産を亡くなる時までにどれだけ減らせるか?低くしておけるか?が重要になってきます。この相続税評価額を低くするひとつの方法が、タワーマンションの購入でした。

2012年から2013年都心のマンション価格が上昇し始めると同時に相続税の基礎控除が引き下げられたこともあり、どうやったら節税できるのか?というところからタワマン節税のブームは加速しました。

タワマン節税の具体的な計算例

タワーマンション節税は、例えば1億円の現金をそのまま持っていれば、1億円に対して相続税が課税されます。
ところがこの現金をタワーマンションに変えておくことにより、相続発生後、タワマン3,000万円の評価となりますので、相続税かかかる財産を減らすことができます。
この節税については、タワーマンションの購入金額が相続時とほぼ変わらないことが前提となっています。あまりにも時価が下がると効果は期待できません。そのため都心の駅近くや駅直結のマンション等がこの節税のために購入されることが多くなりました。

タワマンの評価については、国税庁が2011年から2013年に売買された343物件を調べたところ、相続が発生した場合の評価額の平均は時価の3割でした。

なぜタワマン節税が見直されたのか?

そもそもなぜタワマン節税が見直されたのでしょうか?実は行き過ぎた節税を行うケースが増えており国税庁は個別に対応していました。その中でも令和4年4月タワーマンションの相続税評価額について、納税者と国税庁が争った判決が評価の見直し議論のきっかけとなりました。裁判について詳しくは今後のブログにアップします。

裁判の概要ですが原告である相続人が相続した2室のマンションを路線価をもとに約3億3,400万円と評価し購入時の借入と相殺して相続税を0円として申告しました。
この評価自体はルール通りの申告でしたが国税側は不動産鑑定に基づき12億7,300万円と評価し相続税の総額を2億4,000万円と主張しました。

結果的に国税が勝訴し、世間的に関心が高くタワマン節税が大きく取り沙汰されることになったのです。

現状の評価と今後

そもそも、タワマン節税のスキームが注目された背景には、相続税におけるマンションの評価額と市場価格の乖離です。
まず敷地となる「宅地」の面積に対して分譲される戸数の多いタワーマンションの場合、所有権のある敷地は専有面積に応じるため戸数が多い程、土地の持分が少なくなるため評価額が抑えられます。更に眺望がよく日当たりのいい高層階の部屋は実勢価格が高くなり、相続税や固定資産税の評価額との差額が大きくなるため注目されました。

今回、発表された国税庁の資料によると一戸建ての市場価格の乖離率は平均1.66倍、つまり市場価格の6割程度で評価されていることになります。

しかしマンションは乖離率が2.34倍と高く、4割程度でしか評価されていないのです。そして評価額が時価の半値以下が65%もあります。このマンションの乖離率を一戸建てと同じく市場価格の6割になるように増額補正するとされました。

国税庁 報道発表資料により作成

まとめ

今回の評価見直しについては、タワーマンションだけでなく、一般的なすべてのマンションにおいても、時価と相続税評価額に一定の乖離がある場合には、評価額が見直しとなり結果的に相続税が高くなります。

もちろん今まで通りに大きな節税をすることができなくなりますが、市場価格の60%の評価となるため、改正後であっても40%は市場価格より評価を減額することができます。まだ「見直し案」の状況であるので節税対策を実行する場合は慎重に行う必要があります。

執筆:遠山 真由美(大阪市北区南森町)

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