インボイス制度とは?
令和5年10月1日からインボイス制度が始まりました。
このインボイス制度は、売り手に対し、正しい形式の「適格請求書発行事業者番号」の入った請求書の発行義務と
請求書の写しを保管することを求めています。
一方買い手側には正しく番号の入った請求書の受け取りと保管を求めています。
消費税は事業主が預かっている消費税から、仕入等で支払った消費税を控除(仕入税額控除)した結果を納付します。
インボイス制度が導入され仕入税額控除は、6年後には「適格請求書発行事業者番号」がある請求書しのみが控除対象となります・・・
適格請求書(インボイス)を発行するには?
「適格請求書発行事業者番号」が入った適格請求書(インボイス)を発行するには「免税事業者」から「課税事業者」になる必要があります。
「課税事業者」とは消費税を納める義務のある法人や個人事業主のことをいいます。
基本的には、課税売上が1,000万円を満たなければ「免税事業者」という枠組みで消費税を納める必要がありません。
しかし、インボイス制度が始まり、1,000万円以下の売り上げの個人事業主であっても取引先から適格請求書(インボイス)の発行を求められ「課税事業者」になるケースも多くなっています。
父の事業を相続。インボイス発行事業者とあるが・・・
インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)とは、消費税の計算上、仕入れ税額控除を適用するのに必要な
適格請求書(インボイス)を発行するための登録を受けた事業者です。
適格請求書の発行は誰でもできるわけではなく、この登録を受けた事業者のみとなります。
1,000万円以下の売り上げの個人事業主であっても「課税事業者」となり、(適格請求書発行事業者)として登録している場合もあります。
インボイス発行事業者の個人が亡くなった場合
インボイス発行事業者である個人が亡くなった場合、まずは相続人が税務署へ速やかに「適格請求書発行事業者の死亡届」を
提出する必要があります。
今回の場合、お父様のインボイス発行事業者の効力は、次のいずれか早い日に失われます。
①適格請求書発行事業者の死亡届出の提出日の翌日
②インボイス発行事業者の死亡日の翌日から4か月を経過した日
インボイス発行事業者の効力は、相続で引き継げないのか?
インボイス発行事業者の登録は事業者単位で行われ、インボイス発行事業者としての地位は、
相続人に引き継がれないこととなっています。
ご質問のお父様(被相続人)のインボイス発行事業者の登録の効力を相続人が引き継ぐことはできません。
そのため、免税事業者である相続人が事業を引き継ぐ場合、その相続人が登録を受けるまでのインボイス発行できず事業の継続に支障をきたす恐れがあるため、インボイスのみなし登録期間が設けられています。
相続直後も途切れずインボイスを発行したいけどどうすれば?
相続人がインボイス発行事業者の登録を受けるため、登録申請の手続きを行う時、次のいずれか早い日までの期間は、
相続人はインボイス発行事業者としてみなされます。
①インボイス発行事業者の死亡日の翌日から4か月を経過した日
②相続によりインボイス発行事業者の事業を継承した相続人の相続があった日の翌日から
その相続人がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日
上記の期間中は、その事業を継承した相続人がインボイス発行事業者とみなされるとともに、被相続人の登録が有効となります。
そのため相続があった場合の消費税の納税義務の免除規定による判定にかかわらず、みなし登録期間について相続人は
課税事業者として申告を行う必要があります。
途切れることなくインボイスを発行し続けるには遅くとも死亡日から4ヶ月以内に相続人ご自身が登録をしなければなりません。
まとめ
インボイス事業者である個人事業者様の事業を承継し、相続人が免税事業者である場合は登録申請を行わない限り、
みなし登録期間経過後からはインボイス(適格請求書)を発行できません。
インボイス発行事業者として継続する場合はみなし登録期間中に登録申請を行いましょう。
執筆:遠山 真由美(大阪市北区南森町)
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