ペットの相続も注目を集めています。相続の準備にあたっては、相続のときのインパクトと相続後の生活を取り戻すために何をするかが重要です。これは家族同然のペットについても同様です。今回は、ペットの世話をしてもらう代わりに相続財産を渡す方法と相続税で注意するポイントを整理します。
ペットへの相続 についてのよくあるご相談
家族同然に可愛がっている猫。
若いころ事業で成功しつくった資産があるので私は老後は心配なし。ただ自分が死んだら猫たちがどうなってしまうのか心配です。
自分の死後猫たちが生活していけるように、ねこ名義の通帳を作ろうとしたけれど銀行にはかけ合ってもらえず・・・どうにかして大事なペットに相続できないでしょうか
ペットへの相続 準備
現在の法律では、残念ながら、ペットに対しては、相続・贈与をすることができません。
しかし、親戚や知人に財産をわたす代わりに「責任もって猫の世話をしてください」と義務をつけることができます。
このように死亡時にペットの世話などをさせるなどの負担付きで相続財産をのこす方法としては、以下の2つの方法があります。
種類 | 内容 | 死亡後の撤回 |
負担付遺贈 | 遺贈を受ける者に対して 何らかの行為等の負担を負わせる遺贈 | 遺贈を受けた人は遺贈の放棄をすることができる |
負担付死因贈与 | 「死後に財産を贈与する」という意思表示に 対して、贈与を受ける人が合意する契約 | 受贈を受ける人は撤回できない(合意済なので) |
(参考)ペット信託
ペットの世話をしてくれる人と飼育費を用意しておき、飼い主が認知症や重病等でペットを育てられなくなったときに、新しい飼い主にペットを託し、財産管理者から新しい飼い主へ飼育費を渡してもらうという制度も近年増えてきています。
負担付遺贈等についての相続税
相続税において、負担付遺贈等についてのポイントは以下のようなものがあります。
- 財産を取得した人は、相続財産の取得をしたことになります。
- 全体で基礎控除額超の場合などは、相続税申告の可能性があります。
- 相続税は、取得した財産から負担額を控除した価額が対象です。
- 法定相続人でない方の場合は相続税額の2割加算の対象になります。
- 財産が金銭以外の場合には、譲渡所得が発生する可能性があります。
まとめ
一般社団法人ペットフード協会によると、2020年10月現在、全国の犬の飼育頭数は約8,489千頭、猫の飼育頭数は約9,644千頭と推計されています。
増加しているペットの生活の確保などの相続の準備もお忘れなく!
市川税理士事務所でも、生前の贈与や相続の相談で、ペットに関係するお話がふえてきました。負担付遺贈等は税金的にも論点が多い制度ですので、相続に強い税理士の相続の準備ノウハウを是非活用してください。
執筆:税理士 市川欽一(大阪市北区南森町)
(制度は投稿時点のものになりますので、ご注意ください)
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