不動産や現金・預金などのプラスの財産や借金等のマイナスの財産のどちらも相続しない「相続放棄」が増えています。最新の司法統計によると、2022年は全国の家庭裁判所で「相続放棄」が過去最多の26万497件受理されたことが分かりました。
相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の不動産・現金預金などのプラスの財産と、借金等のマイナスの財産のどちらも受け継がないことです。
この手続きは、相続人が相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。それが受理されることによって認められます。
相続人からの申し立てが受理されると、その相続人は「初めから相続人ではなかった」という扱いになります。
相続放棄が増えた理由は?
一般的には、不動産・現金預金などのプラスの財産より、借金が多い場合、その借金を免れるために相続放棄をすることがあります。
多いのは、例えば、プラスの財産が5,000万円あるが、借金が8,000万円ある場合などです。
ただ、2022年の相続放棄が26万件と過去最高となった背景には、プラスの財産が借入よりも多い場合でも、次のような相続放棄をしているケースがあると考えられます。
① 将来的な維持費や固定資産税の負担を嫌い、実家を含めた財産の相続を放棄している
② 被相続人とトラブルがあり、遺産を引き継ぐことを拒否して放棄している
③ 相続税評価額はあるが、実際の現金価値のない財産(森林や原野など)の相続を放棄している
まとめ
不動産の相続登記が義務化され、相続による名義変更の促進を図るのはもちろんですが今回のような相続放棄の数を減らしていくためには、もっともっと前の段階から何かしらの対策をとる必要があるのではないか?と思います。
執筆:遠山 真由美(大阪市北区南森町)
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